書籍紹介

店主の気になる理由
発売前なので、もちろんまだ本そのものを読んだわけではありません。
それでも、刊行案内を見たときから、とても気になっている一冊です。
コギトでは定期的に哲学対話を開催しています。
毎回、セクシュアリティをテーマにしているわけではないのですが、参加された方々とゆっくり話をしていると、性別や恋愛、結婚、家族、身体のことなど、セクシュアリティにまつわる話が意外とよく出てきます。
そして、人が感じている「しんどさ」の背景には、その人自身の問題だけではなく、
「女性ならこうあるべき」
「男性ならこうあるべき」
「家族とはこういうもの」
「結婚とはこういうもの」
「普通はこうするもの」
といった、社会の中にある規範も関係しているのではないか、と感じることがあります。
水上文さんの新刊は、クィア/フェミニズムの視点から文学作品を読みながら、身体、性、家族、アイデンティティ、ケア、暴力といったテーマを考えていく本です。
文学についての本でありながら、私たちが生きている社会の「普通」を問い直す一冊でもあるのではないか。
そんなところに惹かれました。
特に、地方で暮らす「女性」に。そして、性別にかかわらず、この本を紹介してみたいと思っています。
この本の内容
文学シーンを切り拓く、気鋭の批評家・待望の作品集! クィア/フェミニズムの視点から社会の“普通”を問い直し、世界の見方を刷新していく──覚悟と希望を刻む慧眼の書!
斎藤美奈子・北村紗衣・吉田恵里香、太鼓判!
いま最も社会が必要とする批評家、鮮烈なる第1作!
クィア/フェミニズムの視点で文学シーンを切り拓く、
新進気鋭の批評家・水上文による初の批評×エッセイ集!
「デビュー作でこれはヤバいです。多数派の価値観をゆさぶり倒す、批評の最前線です」 斎藤美奈子(文芸評論家)
「からだ、性、家族、アイデンティティなどを切り口に現代日本文学を批評する、読み応えたっぷりの本」 北村紗衣(研究者)
「世の中への冷静な怒りが痛快爽快。理性と優しさに裏打ちされた闘志が、読者の心の傷を癒してくれる」 吉田恵里香(脚本家)
目次
はじめに
狭間の沈黙
01 ほかならないこの身体で
身体を生きることや、現代文学に描かれた母と娘の関係を考える章です。
私の身体を生きるためのブックガイド
女たちの声――現代日本文学における母娘について
母の娘――宇佐見りん『かか』について
02 異性愛規範を穿つ
異性愛を「普通」とする社会や、クィアな時間、女性同性愛の描かれ方を考えます。
クィアなフェミニストとして生きること
クィアな時間を考えるためのブックガイド
いかに「愛」を語るか――綿矢りさ作品における女性同性愛について
03 ここに楔として打ち込まねばならない
シスジェンダーやトランスジェンダーをめぐる言葉と物語、文学の自由と暴力について考える章です。
シスジェンダーとは何か?
クィアを死なせない文学――李琴峰『言霊の幸う国で』評
補論(1):「キャンセルカルチャー批判」批判
補論(2):文学の自由と暴力――笙野頼子批判
フェミニズムとトランスジェンダー――笙野頼子『水晶内制度』をめぐって
トランスジェンダーの物語をめぐるブックガイド
04 生きることに耐えて学ぶ
高瀬隼子、金井美恵子、松浦理英子の作品から、学ぶことや教育、生き延びることを考えます。
あなたを許さない――高瀬隼子作品について
シェイクスピアの妹など生まれはしない――初期金井美恵子作品をめぐって
我ら拷問者――松浦理英子作品とクィアな教育論
