【店主が気になる新刊】文学から社会のかたちを解明する 水上文『たったひとり、私だけの部屋で』

書籍紹介

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たったひとり、私だけの部屋で
クィア/フェミニズムと共に文学を体験する

水上 文 著
河出書房新社 / 関連ページ
2026年9月18日発売予定
予価 2,420円(税込)
256ページ


【著者】
水上 文 (ミズカミ アヤ)

1992年生まれ。文筆家。著書に『クィアのカナダ旅行記』、共著に『はじめての百合スタディーズ』、『反トランス差別ブックレット』。「エトセトラ」vol.13「特集:クィア・女性・コミュニティ」特集編集。

店主の気になる理由

発売前なので、もちろんまだ本そのものを読んだわけではありません。
それでも、刊行案内を見たときから、とても気になっている一冊です。

コギトでは定期的に哲学対話を開催しています。

毎回、セクシュアリティをテーマにしているわけではないのですが、参加された方々とゆっくり話をしていると、性別や恋愛、結婚、家族、身体のことなど、セクシュアリティにまつわる話が意外とよく出てきます。

そして、人が感じている「しんどさ」の背景には、その人自身の問題だけではなく、

「女性ならこうあるべき」
「男性ならこうあるべき」
「家族とはこういうもの」

「結婚とはこういうもの」
「普通はこうするもの」

といった、社会の中にある規範も関係しているのではないか、と感じることがあります。

水上文さんの新刊は、クィア/フェミニズムの視点から文学作品を読みながら、身体、性、家族、アイデンティティ、ケア、暴力といったテーマを考えていく本です。

文学についての本でありながら、私たちが生きている社会の「普通」を問い直す一冊でもあるのではないか。
そんなところに惹かれました。

特に、地方で暮らす「女性」に。そして、性別にかかわらず、この本を紹介してみたいと思っています。

この本の内容

文学シーンを切り拓く、気鋭の批評家・待望の作品集! クィア/フェミニズムの視点から社会の“普通”を問い直し、世界の見方を刷新していく──覚悟と希望を刻む慧眼の書!

斎藤美奈子・北村紗衣・吉田恵里香、太鼓判!
いま最も社会が必要とする批評家、鮮烈なる第1作!

クィア/フェミニズムの視点で文学シーンを切り拓く、
新進気鋭の批評家・水上文による初の批評×エッセイ集!


「デビュー作でこれはヤバいです。多数派の価値観をゆさぶり倒す、批評の最前線です」 斎藤美奈子(文芸評論家)
「からだ、性、家族、アイデンティティなどを切り口に現代日本文学を批評する、読み応えたっぷりの本」 北村紗衣(研究者)
「世の中への冷静な怒りが痛快爽快。理性と優しさに裏打ちされた闘志が、読者の心の傷を癒してくれる」 吉田恵里香(脚本家)

目次

はじめに

狭間の沈黙

01 ほかならないこの身体で

身体を生きることや、現代文学に描かれた母と娘の関係を考える章です。

私の身体を生きるためのブックガイド
女たちの声――現代日本文学における母娘について
母の娘――宇佐見りん『かか』について

02 異性愛規範を穿つ

異性愛を「普通」とする社会や、クィアな時間、女性同性愛の描かれ方を考えます。

クィアなフェミニストとして生きること
クィアな時間を考えるためのブックガイド
いかに「愛」を語るか――綿矢りさ作品における女性同性愛について

03 ここに楔として打ち込まねばならない

シスジェンダーやトランスジェンダーをめぐる言葉と物語、文学の自由と暴力について考える章です。

シスジェンダーとは何か?
クィアを死なせない文学――李琴峰『言霊の幸う国で』評
補論(1):「キャンセルカルチャー批判」批判
補論(2):文学の自由と暴力――笙野頼子批判
フェミニズムとトランスジェンダー――笙野頼子『水晶内制度』をめぐって
トランスジェンダーの物語をめぐるブックガイド

04 生きることに耐えて学ぶ

高瀬隼子、金井美恵子、松浦理英子の作品から、学ぶことや教育、生き延びることを考えます。

あなたを許さない――高瀬隼子作品について
シェイクスピアの妹など生まれはしない――初期金井美恵子作品をめぐって
我ら拷問者――松浦理英子作品とクィアな教育論

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