コギトの哲学対話
本と文化 コギトでは、2026年2月から哲学対話を開催しています。
哲学対話と聞くと、少し難しそうに感じるかもしれません。
でも、哲学の専門知識も、哲学書を読んだ経験も必要ありません。
日々の暮らしの中でふと浮かぶ、
「なぜ?」
「これって本当にそうなの?」
「なんだか、モヤモヤする」
そんな問いについて、誰かと一緒に立ち止まって考える時間です。
1.なぜ、コギトで哲学対話をするのか?
私たちは毎日、たくさんのことを考えながら暮らしています。
でも、
「幸せって何だろう」
「仕事にやりがいって必要なんだろうか」
「自分らしく生きるって、どういうことだろう」
といった問いについて、答えを急がずに考える時間は、意外と多くありません。
学校でも、仕事でも、家庭でも、
「どうすれば解決できるのか」
「何が正しいのか」
ということが求められます。
もちろん、それも大切です。
でも、ときには、
「そもそも、それってどういうことなんだろう?」
と立ち止まる時間があってもいいのではないか。
そんな思いから、コギトでは哲学対話を続けています。
コギトで哲学対話を始める前に、その理由について書いた文章があります。
ご興味があれば、読んでいただけると嬉しいです。
2.哲学対話の背景
対話を通して考える営みには、古代ギリシャのソクラテスまでさかのぼる長い歴史があります。
現代の哲学対話に大きな影響を与えたものの一つが、1960年代後半からアメリカの哲学者マシュー・リップマンらが始めた、
P4C(Philosophy for Children/子どものための哲学) です。
P4Cでは、先生が正解を教えるのではなく、参加者自身が問いを出し、
他者の考えを聞きながら一緒に考えていきます。
こうした場は、
「探究の共同体(Community of Inquiry)」
とも呼ばれます。
現在では、学校や大学だけでなく、地域、図書館、書店、企業、福祉や医療の現場など、さまざまな場所で哲学対話が行われています。
映画で見る哲学対話
哲学対話の雰囲気をもう少し知りたい方には、ドキュメンタリー映画「僕たちの哲学教室」もおすすめです。
子どもたちが実際に問いを出し、考え、話し合う様子から、
哲学対話が「正解を当てる時間」ではなく、「一緒に考える時間」であることがよく伝わります。
文章だけでは分かりにくい哲学対話の空気を知る参考として、ぜひご覧ください。
公的機関・大学での哲学対話
2023年には、厚生労働省が哲学者・永井玲衣さんを招き、職員を対象に哲学対話を行っています。
厚生労働省「哲学対話をしよう ~手を止めて、余白をつくって問い直す」
東京大学でも、梶谷真司さんらによって哲学対話の研究や実践が行われています。
3.コギトの哲学対話は、どうやってやるの?
コギトでは、基本的にあらかじめ話すテーマを決めません。
参加者のみなさんと一緒に、その日に話す問いをつくり、選びます。
最初に、この対話の中で呼んでほしい名前で自己紹介をしていただきます。
職業や肩書きなどによる先入観をできるだけ少なくするため、なるべく匿名性を大切にしています。
そのあと、簡単な質問を回します。
たとえば、
「最近、ハマっていることは?」
といった質問です。
まずは、その場で少し声を出してみるところから始めます。
次に、参加者のみなさんから、
「今、気になっていること」
「考えてみたいこと」
を出してもらいます。
ずっと忘れていたこと。
「どうでもいいから」と抑え込んできたこと。
そんなところにも、問いがあります。
問いを出し切ったあと、
「もう少し聞いてみたい」
「それってどういう意味?」
ということがあれば、質問します。
そのうえで、参加者のみなさんで、その日に話す問いを一つ決めます。
コギトでは、ぬいぐるみを持っている人が話す形を基本にしています。
ぬいぐるみを持っていない人は、その人の話を聞きます。
話し終わったら、
・司会者にぬいぐるみを返す
・話を聞いてみたい人に渡す
・時計回りに回す
など、そのときの流れに応じて進めます。
話したくなければ、話さなくても大丈夫です。
ただ聞いているだけでも参加できます。
途中でトイレに行ったり、少し席を外したりすることも自由です。
対話のルールは、永井玲衣さん・梶谷真司さんの言葉を参考にしています
①永井玲衣さん
・よく聞くこと
・自分の言葉で話すこと
・「人それぞれじゃないですか」と言って諦めてしまわないこと
②東京大学大学院教授・梶谷真司さん
・何を言ってもいい
・人の言うことに対して否定的な態度をとらない
・お互いに問いかけるようにする
・発言せず、ただ聞いているだけでもいい
・知識ではなく、自分の経験にそくして話す
・意見が変わってもいい
・話がまとまらなくてもいい
・分からなくなってもいい
このルールだけを意識してもらい、対話をしていきます
時間が来たら終了です。
哲学対話では、最後に一つの結論を出すことを目的にしていません。
スッキリして終わることもあります。
逆に、
「余計に分からなくなった」
「まだモヤモヤしている」
という状態で終わることもあります。
それで大丈夫です。
何か一つでも持ち帰ってもらえたら嬉しいと思っています。
コギトでは、これも永井玲衣さんにならって
「哲学対話は、終わった時から始まる」
とも考えています。
家に帰ってから思い出したり、
本を読んで違う考えに出会ったり、
数日後にふと続きを考えたりする。
そんな時間まで含めて、哲学対話なのだと思います。
4.よくある質問
- 哲学について全く知識がありません。参加できますか?
-
もちろん大丈夫です。
哲学の専門知識は必要ありません。
哲学書を読んだ経験も必要ありません。
自分の日常や経験から考えていただければ十分です。
- 一人で参加しても大丈夫ですか?
-
大丈夫です。
お一人で参加される方も多くいらっしゃいます。
初参加の方も歓迎しています。
- 発言しないといけませんか?
-
いいえ。
話さずに、聞いているだけでも大丈夫です。
考えているうちに話したくなったら、そのときにお話しください。
- 事前にテーマについて考えておく必要がありますか?
-
ありません。
その日に参加者のみなさんから問いを出してもらいます。
もちろん、日頃から気になっている問いがある方は、持ってきていただいて構いません。
- うまく話せる自信がありません
-
全く問題ありません。
途中で言葉に詰まっても、
話がまとまらなくても、
「うまく説明できないんですが……」
から始めても大丈夫です。
うまく話す場所ではなく、一緒に考える場所です。
- 何歳から参加できますか?
-
現在のコギトの哲学対話は、高校生以上を対象にしています。
開催内容によって変更する場合がありますので、各回の募集ページをご確認ください。
哲学とは「何もバカにしないこと」
コギトでは、永井玲衣さんにならって
「哲学は、何もバカにしない」
という感覚を大切にしています。
一見すると、くだらなく見えること。
うまく説明できないこと。
ずっとモヤモヤしていること。
そんなところにも問いがあります。
立派なことを言う必要も、知識を披露する必要もありません。
自分自身の経験や、自分自身の言葉から考えていきます。
5.これまでの哲学対話
本と文化 コギトでは、2026年2月から哲学対話を開催しています。
・#1|2026年2月19日|人はなぜ、つながりを求めるのか?
・#2|2026年3月12日|なぜ人は、問題を解決したがるのか?
・#3|2026年3月26日|なぜ人は、過去が気になるんだろう?
・#4|2026年4月10日|つかれるって何だろう?
・#5|2026年4月24日|ムダって本当にいらないの?
・#6|2026年5月15日|自分の理想の在り方ってどうすれば見つかるの?
・#7|2026年5月22日|自分の人生は楽しめてますか?
・#8|2026年6月12日|人はなぜ勉強するのだろう?
・#9|2026年6月28日|純粋な利他はあるのか?
・#10|2026年7月10日|なんで働くのか?/あなたは働いてますか?
・#11|2026年8月28日|人生の成功ってなんでしょうか?
同じ問いでも、集まる人が変われば、対話も変わります。
哲学対話をもっと知りたい方へ
「哲学対話って、実際にはどんな感じなんだろう?」
という方には、日本テレビ「news every.」で紹介された、
小学校での哲学の授業の映像もおすすめです。
子どもたちが、
「勝ち負けって必要?」
「いいこと・悪いことって何?」
「生きるってどういうこと?」
といった問いについて、自分の言葉で考え、互いの話を聞きながら対話していきます。
コギトの哲学対話とは少し違うかも知れませんが、
「正解を教えてもらうのではなく、みんなで問いについて考える」
という哲学対話の雰囲気が、とてもよく伝わる動画です。
7.次回の哲学対話
次回のコギトの哲学対話は、以下の日程で開催します。
コギトの哲学対話 #12
日時|2026年10月10日(土)19:00〜21:00
場所|本と文化 コギト
対象|高校生以上
【会場参加】
定員|10名程度
参加費|300円+1ドリンクオーダー
[会場参加のお申し込みはこちら]
【オンライン参加(Zoom)】
定員|5名
参加費|初回おためし価格 500円
答えを出すためではなく、
もう少し考えてみるために。
うまく話せなくても大丈夫です。
聞くだけでも大丈夫です。
本と文化 コギトで、一緒に問いを囲んでみませんか。